民事信託とはなにか?

近年、ペットの飼育費用を遺す方法として注目されている方法が、民事信託です。

もともと日本における信託のイメージと言えば、信託銀行・信託会社(金融庁などの公的機関の許認可を受けた会社)が受託者(信託された財産を管理・運用する人)となり、不特定多数の委託者(財産を信託する人)から多くの財産を集め、受託者名義で投資・運用することを意味します。これを便宜的に「商事信託」と称します。

これに対し、許認可のある信託銀行等を介さずに、個人や企業が委託者・受託者・受益者となる信託行為を「民事信託」と称します。あくまでも一個人・一法人の行為なので契約のみで有効となります。小泉内閣の時代に、信託法が大幅に改正されたことにより可能となりました。

遺言書の問題点

民事信託は相続対策として極めて優れています。その理由としては、認知症などによる判断能力の低下に伴った、遺言書の書き換え対策などがあります。

遺言書は新しいものが有効なので、相続人が知らないうちに、勝手に新しい遺言書が作成されれば古いものは効力を失います。さらには、遺言作成者が認知症になったときには、成年後見人が財産を管理するので遺言作成者の意思に反した使われ方をする可能性があります。

公正証書遺言+民事信託の最強タッグ

公正証書遺言にすることで、認知症などに伴う書き換えの問題をある程度クリアできます。公正証書遺言の場合、自筆証書遺言に比べ、第三者の公証人が作成に立ち会っており、公証役場に記録が残ることから、遺言として認められやすくなります。

民事信託でも、こうした問題を解決することが出来ます。民事信託は契約の一種なので、いったん信託契約を結べばその内容を変更するには委託者・受託者・受益者全員の確認が必要となります。知らないうちに勝手に内容を書き換えることは不可能であり、もし仮に、別の遺言書が勝手に作成されたとしても信託契約そのものは有効なのです。相続対策としても認知症対策としても民事信託は有効です。

公正証書遺言と民事信託のセットは最強と言えます。

ペットのために財産を遺す際に、気を付けなければならないのが、本当に財産がペットの為に使われるかどうかです。公正証書遺言と民事信託をセットで使うことで、確実に、財産をペットの生涯の為に使うことが出来るようになります。

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