ペット後見互助会とものわでは、飼い主が万が一入院や死亡するなど、飼い主がペットの飼育を継続できない状態に備えて、飼育の受け皿と、飼育費用の遺し方をあらかじめ決めておくペット後見(終生飼育契約の作成)を進めています。
大切な我が子であるペットたちを誰に託すのか?どんな施設に託すのか?は、飼い主にとって大きな選択となります。ここでは、終生飼育施設の選び方のポイントについてお伝えします。
終生飼育施設を選ぶポイント
既に知り合いの施設にお願いする場合
第一に検討すべきは、飼い主との信頼関係です。もともとお世話になっているペット事業者の方にお任せできるならそれがベストです。相手の素性もわかっていますし、何よりペットたちも普段から信頼している人の元にいくならば、心理的な負担も小さくなります。
動物たちにとって、飼い主さんと別れることは、非常に大きなストレスになります。住み慣れた家を離れることも大きなストレスです。そうしたストレスを少しでも緩和するには、行き馴れた場所で保護を受けることがベストです。もし、この人にお願いしたいと思える事業者の方がいれば、普段からホテルなどを利用されることがお勧めです。
ただし、普段からお願いしている事業者さんが、終生飼育施設となっていただけるかどうかは、しっかりと確認が必要です。終生飼育をお願いする、あるいは、一時預かりと譲渡をお願いするというのは大きな労力が必要です。口約束なんてもってのほかです。飼い主と事業者だけで話し合いを行うのではなく、ペット後見相談拠点のような第三者を間において、正式な話し合いを行うようにしましょう。
新たに施設を探す場合
もし、既にお世話になっている事業者さんでめぼしい方がいないという場合、新たに探さなければなりません。
「ペット 終生飼育 施設」「犬 終生飼育 NPO」「猫 終生飼養 NPO」などと検索すると、いろいろなサイトが出てきます。この中から自分に合った施設を選択する必要があります。
いろいろな事業者から、お願いする事業者を選ぶには、以下のポイントを押さえて選ぶとよいでしょう。
自宅からの距離
ペット後見飼育施設一覧から探していただくという方法もありますが、できるだけ、家から近い施設を選択されることが大切です。というのも、施設が家から近ければ、ホテルを利用するなど、動物たちを事前に施設に馴らすことが可能になるからです。
さらに、緊急保護が必要になった際に、遠くの施設では助けに来てもらうことができません。遠くとも車で2時間程度で着く距離ならば、緊急の対応も可能でしょうが、全く別の地方の施設に終生飼育を依頼すると、いざ預ける際に問題になることがあります。
見学を受け付けているか
家の近くの施設でいくつかの施設がピックアップできたら、見学が可能かどうか問い合わせてみましょう。もしこの時点で見学がNGの施設があったら、そこは除外しましょう。外部の人間を入れられないにはそれだけの理由があります。きちんとオープンになっている施設から選ぶようにするとよいでしょう。
法令順守
見学に行ったときに確認すべきは、法令順守の状況です。2019年に動物愛護管理法が改正され、犬猫の長期預かりを行う場合のケージのサイズが定められました。
- 犬のケージサイズ
- 犬の体長の1.5倍×2倍、犬の体高の2倍
- 猫のケージサイズ
- 猫の体長の1.5倍×2倍、猫の体高の3倍
終生飼養施設において、これよりも大きなケージに入っていなければ、法令違反の可能性があります。まずはここをチェックして、法令を遵守した優良な施設かどうかを確認しましょう。
また、ケージから出て自由にしている時間が3時間以上必要です。ここも確認をする必要があります。
動物福祉とエンリッチメントの状況
ケージサイズだけでなく、きちんと良い生活ができるかどうかも大きなポイントです。特に重要なのが、ケージから出て運動する/遊ぶといった活動をどれだけ充実させているかという点です。
ペットを託しても、ケージの中に入れっぱなしでは、託した意味がありませんよね。犬であれば散歩に行くのかどうか、犬同士の関わりはどうか、ドッグランで遊ぶ時間があるかどうか、トレーニングはするのか、その他の遊びはどのようなものがあるのか確認しましょう。
猫であれば、ケージから出て自由に過ごす際にどのような環境なのか、猫同士一緒に過ごせるのか、爪とぎ・トイレ・おもちゃは充実しているか、人との積極的な遊びの時間はどの程度あるのかなどを確認していくようにしましょう。
獣医師や愛玩動物看護師の存在
最後に、獣医師や愛玩動物看護師が運営にかかわっているかどうかは大きなポイントとなります。やはり、国家資格者が参加することは、その施設のクオリティや信頼を大きく高めます。国家資格を背負っている有資格者も下手なことはできません。
当然、健康管理の面では大きなアドバンテージがあります。施設内で健康管理についてある程度判断がつくことは強い信頼感につながりますね。
なかなかすべての施設で国家資格者の関与があるわけではありませんが、プラスポイントとして考えておくとよいでしょう。