質問-生前贈与に関して-

ペット後見の制度を利用したいと考えています。生前贈与によって、飼育費用を事前にお支払いしておいて、いざという時に、ペットの身元を引き受けていただきたいと思っております。先にお支払いしておきたいという気持ちがあり、遺贈ではなく、生前贈与をしたいと考えています。そのような対応も可能ですか?

回答-生前贈与によるお引き受けも可能です-

現在、問題なく愛犬愛猫と暮らされている状態で、将来的に飼えなくなるかもしれないという時に、ペット後見互助会に入会していただくことで、もしも飼えなくなった時にも互助会が愛犬愛猫を終生飼育させていただくことができます。通常は遺贈を用いて、飼い主様の生前のご負担を少なくし、ご利用いただけるようにしております。飼い主様の死後、遺産の一部を互助会に遺贈していただくという形ですが、生前贈与によって、先に飼育費用をお受けするという対応も可能です。

むしろ、生前贈与で先に費用をお支払いしていただけるということであれば、是非お願いいたします。生前贈与で先に費用をいただいていた方が、資金の工面がしやすくなり、より健全な互助会運営にもプラスに働きます。遺贈の場合は、ペットの保護が先にあり、互助会に費用が入るタイミングが後になることになります。そのため、一時的に互助会が飼育費用を立て替える形になります。とはいえ、その負担を分け合うのが互助会のスタンスですから問題になるわけではありません。生前贈与の場合は、先に互助会に費用が入りますので、遺贈に比べて資金の循環が早くなり、経営しやすくなるという利点があります。

飼育困難を抱えた飼い主の誰しもが生前贈与できるだけの余裕がある方ではないことが考えられます。遺贈でしか対応できない方でも、気兼ねなく互助会を利用していただくためにも、生前贈与で費用をお支払いいただける方には、そちらを優先していただけると助かります。

生前贈与の具体的な方法

具体的には終生飼育契約書を作成し、もしも飼い主様が飼えなくなったしまった時に、ペット後見互助会の運営者であるNPO法人人と動物の共生センターに愛犬愛猫を贈与(所有権移転)していただく契約を作ります。そして、その費用として1頭当たり100万円以上の費用をご負担いただく形になります。

契約書のひな型は以下の通りです。状況に合わせて、契約内容を多少変更することはございます。

終生飼育契約書ひな型

甲と乙は、本日、甲のペットの終生飼育のため、以下の契約を締結した。甲と乙は、本契約の成立を証するため、本書を二通作成し、記名捺印の上各自一通を保有する。

第1条(本契約の目的)
 本契約は、甲がその飼育するペットを飼えなくなってしまう事態に備え、甲乙が協力して、乙の運営するペットの終生飼育サポートサービスである「ペット後見互助会とものわ」を利用しつつ、ペットの終生飼育の受け皿を確保すると共に、甲が受け皿確保のための財産を遺す・託す方法を定めることで、もってペットの福祉を守り、最後まで幸せに暮らせることを目的とするものである。

第2条(贈与)
   甲は、本契約第3条の停止条件が成就することを条件として、甲所有のペット(詳細は別紙資料の通り。以下「甲ペット」という)を乙に対し贈与することを約し、乙はこれを受諾した(以下、「本件贈与」という)。

第3条(停止条件)
1. 本件贈与は、甲の死亡又は甲の入院その他甲が甲ペットを飼育することが困難な事情が生じたことを停止条件として効力を生じ、贈与物件の所有権は乙に移転する。
2. 前項の条件(甲ペットを飼育することが困難な事情)の成就の判断は、甲乙協議の上乙が決定するものとし、甲乙協議ができない場合は乙が決定する。
3. 甲は、乙に対し、第1項の条件成就の有無を乙が判断できるよう、定期的な状況報告をすることとする。

第4条(乙によるペットの飼育・譲渡)
1. 乙は、甲ペットの所有権移転を受けた後は甲ペットを速やかに引き取り、乙が大切に飼育するか又は適切な飼育先に甲ペットの飼育を任せる義務を負う。
2. 甲乙は、協力して甲ペットの適切な飼育状態を確保するため、乙施設において飼育する方法のほか、一般家庭への譲渡、老犬ホームの利用等の方法を検討することとし、乙は、所有権移転時点において、乙の責任において、甲ペットの年齢・健康状態・譲渡適正等を総合的に加味した上、本契約の目的を十分に理解し、目的達成に協力的な者の中から、飼育先を選定することとする。
3. 甲と乙は、所有権移転の効力が生じる前においても、適切な飼育先確保のため、日常的に意見交換及び情報交換を行うよう努めるものとする。
4. 乙は、獣医師の介在の元、甲ペットの健康状態等を把握し、動物福祉に配慮して適切に飼育する義務を負う
5. 乙は、甲ペットの健康状態が悪化する等によって、生活の質が低下し、動物福祉の状態が低下した場合においては、複数の獣医師による介在の元、安楽殺の必要性の有無について検討し、必要に応じた処置を行うものとする。

第5条(飼育費用)
1. 甲は、乙及び乙の譲渡先による甲ペットの飼育にかかる費用として、下記の支払金額に定める金銭を乙に支払うことを約する。

金0000000円
2. 甲は、乙に対し、前項の飼育費用を、本契約締結後30日以内に支払う。
3. 支払先口座は以下のとおりとする

第6条(契約の失効)
1. 本件贈与は、第3条の条件が成就する前に、甲ペットがすべて死亡し、若しくは甲が甲ペットの占有を失った場合は、その効力を失う。

第7条(飼育費用の払い戻し)
1. 乙は、本契約が失効した場合、第5条の飼育費用から、手数料10%を除いた金額を、甲に返還するものとする。
2. 甲乙協議の上、第5条の飼育費用を寄付として乙に支払うことに合意した場合、乙は飼育費用の一部もしくは全部を、寄付として受け取ることができる。

第8条(第三者への所有権移転の禁止)
  甲は、本契約後に甲ペットの所有権を乙の承諾なく第三者に移転してはならない。

第9条(瑕疵担保責任の免除・説明義務)  
1. 甲は、乙に対し甲ペットを現状有姿において引き渡すものとし、甲ペットが有する疾病等の一切の瑕疵について、瑕疵担保責任を負わない。
2. 甲は、本契約に際し、自らが知る甲ペットが有する疾病等の甲ペットに関する情報について、事前に乙に説明する義務を負う。
3. 甲が故意に前項の義務を怠った場合、甲は、乙に対し、本条第1項の規定に関わらず、当該説明を甲が怠ったことにより乙が被った損害を賠償する義務を負う。

第10条(ペット後見互助会とものわへの入会)
1. 甲は、本契約締結の前提として、「ペット後見互助会とものわ」へ入会し、入会金及び会費を支払う。
2. 乙は、甲が「ペット後見互助会とものわ」の会費支払いを1年以上滞納した場合、催告なくして本契約を解除することができる。

第11条(管轄裁判所に関する合意)
 本契約について、甲乙間に紛争が生じたときは、乙の本店所在地を管轄する裁判所(岐阜地方裁判所)を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第12条(信義誠実の義務)
 本契約に定めのない事項は民法その他の法令に従うこととし、法令に定めのない事項については、甲乙両者は、信義に従い誠実に協議に応じることとする。