質問

犬猫などのペットにお金を遺すために、生命保険を活用できる、生命保険信託(生命保険ペット信託)という方法があると聞きました。どのような仕組みなのでしょうか?

回答

生命保険信託は、生命保険による死亡保険金を信託会社が預かり信託財産として、事前に決めた受取人(受益者)に対して、信託会社から信託財産を事前に取り決めた方法で支払うことができる仕組みです。一般的には受取人が未成年であるなど財産管理ができない場合に毎年○○万円ずつ支払う等のような形で活用されます。

生命保険信託を取り扱っている生命保険会社は、第一生命、三井住友信託銀行、プルデンシャル生命などがあります。

この中でも、プルデンシャル生命は、信託財産として100万円からの取り扱いを行っており(三井住友銀行は250万円~/第一生命は1,000万円~)、少額での生命保険信託を作成することができる特徴があります。ペットに関する生命保険信託の作成の場合、少額での申し込みができるほうが小回りが利きます。そのためペット後見互助会とものわでは、プルデンシャル生命とプルデンシャル信託が提供するサービスを活用して、終生飼育費用を遺す仕組み(生命保険ペット信託)をご提案しています。

プルデンシャル生命の生命保険信託では、認定NPO法人をはじめとした公益法人を受取人(受益者)に指定できるサービスがあり、ペット後見互助会とものわではこの仕組みを活用し、飼育費用の支払いを行っていただいております。すなわち、飼い主が自身に生命保険をかけ、プルデンシャル信託が受託者となり、ペットを引き取り飼育・譲渡する当団体が受益者(生命保険金の受取人)となります。

問題は、受取人(受益者)になれるのは、公益法人のみという点です。そのため、一般のペットシッターやトリミングサロンが受益者になることはできません。認定NPO法人は、NPO法人のうちでも数%しかなく、受取人になれる団体はかなり限られるのが現状です。

犬猫や、その他、鳥、爬虫類など、10年を超える寿命を持つ(中には50年生きるペットもいる)動物の将来を守るためには、生命保険信託のような制度を活用することは重要です。

当団体は、認定NPOを取得したため、相談があれば対応(動物の保護と譲渡)できる状態ですが、実際にペットたちの将来を心配されている飼い主さんは、お世話になっている方にお願いしたいと考えている人も少なくないでしょう。今後、信頼できるペットシッターやトリミングサロンに生命保険金を渡せるような制度ができることを期待したいと思います。

生命保険信託のメリット

分割積み立てが可能

生命保険で積み立てるため、分割で支払うことが可能です。月々の支払いにすることで、契約作成のハードルが下がります。

総支払額を圧縮できる

生命保険のため、積み立ての方法によっては、利回りを得ることができるので、総支払額を圧縮できることがあります。

ペット後見互助会とものわでは、1頭あたり100万円~(体重10キロ以上の場合、1キロあたり10万円)の飼育費用を遺していただくこととなっていますので、生命保険金の金額は100万円以上の額で生命保険契約を作成することになります。

若い方で長期に払い込みが可能な場合、生命保険金の金額よりも、支払い総額が、より小さくなりやすい傾向にあります。

解約返戻金

ペットを飼い切れた場合は、解約いただければ、解約返戻金が戻ってきます。積み立ての方法によっては、利回りがあり、支払額より多い額の返戻金がある場合があります。

身近(ハードルが低い)

生命保険は、遺言や民事信託に比べて、身近だという点でハードルが低いと感じる人が多いようです。

遺言では、財産全体の処遇について検討しなければなりませんが、生命保険信託では、生命保険金にあたる部分のみ切り出して契約を作成することができます。

民事信託では、身近な人に受託者を依頼する必要があるため、身寄りが全くなく、受託者となってくれる身近な人がいないない場合、利用が難しいというデメリットがあります。

生命保険信託のデメリット

条件により加入できない

健康状態や年齢などの条件により加入できない場合があります。

受け取り対象の団体にハードルがある

プルデンシャル生命の生命保険信託では、公益財団法人、認定NPO法人など、一部の公益性が保証された法人のみが、受取人(受益者)となることができます。そのため、お世話になっているトリミングサロンに生命保険をつかって飼育費用を払いたいという希望があっても、なかなか難しいという状況になっています。

当団体のように、認定NPO法人を取得している団体であれば、受取人に指定することができます。

比較検討を

生命保険信託のほかにも、民事信託、遺言、事前振り込みによって資金を遺すことができます。それぞれの家庭の事情に合わせた方法で、飼育費用を遺す方法を考えていきましょう。