ペットは家族?それとも・・・

法律上、あなたにとって大切な家族であるペットはどう位置づけられるのでしょうか。
実は、法律上、ペットは「動産」つまり「物」として位置づけられることになっています。

ですから、人間の家族のように相続の権利があるわけではありませんし、ペットが契約の主体になることもできません。ペットに遺産を相続させる遺言書を作成しても、無効になってしまいます。

もちろんペットに人間のような介護保険制度があるわけではありませんし、年金制度もありません。あくまで人間の「持ち物」として位置づけられているのです。

では、現在の法制度を前提にして、もし飼い主であるあなたに万一のことがあったとき、ペットの生命・健康・生活をどのように保障したらよいのでしょうか?

信頼できる引き取り手の確保

結局、その保障は各飼い主が事前に準備しておくほかありません。事前の準備にあたって大切な視点は、①信頼できる引き取り手の確保(万が一飼えなくなった時に飼育してくれる人)、②引き取り手への経済的対価(飼育するにあたって必要な費用)の譲渡、の2点につきます。

問題がペットという生き物のことである以上、信頼できる人間の確保は必須です。というのも、引き取り手が責任をもって飼育してくれるかという点は、どのように契約でしばっても限度がありますし、ここに監督を完全に及ぼすのはほぼ不可能(第三者の監督人を置いたとしても、生活の全てに監視の目を向けることは事実上不可能)です。ですから、結局は人と人との信頼関係が必要となってくるのです。

その、信頼できる人と、飼い主の間で、どのような形になったらペットを預けるのか、また、預ける経済的対価をどのように渡すのかを、第三者を交えて契約を作っておくことが、一番の備えとなります。ちなみに、契約の形は無数に存在するため、それぞれの状況に合わせてどのような契約にするかを考えていく必要があります。

適切な経済的対価が確実な履行を促す

②は、①を補完する意味で必要となります。ペットの飼育・譲渡にはお金がかかります。そのための費用をきちんと渡すことで、渡される側にもそれ相応の責任が生じ、ひいては渡す側の安心感につながるのです。経済的対価のない譲渡は、モラル・ハザードを引き起こしたり、一部ボランティアへの局所負担が生じ、破綻の危険性を伴います。

動物保護の分野では、ボランティアの考え方が強く、動物を引き取る上で、お金を取ることがお金儲けと言われ、良く思われないことがあります。しかし、ペットの引き取りと終生飼育の「契約」と考えれば、経済的対価はむしろ必要なものということがわかります。ボランティアに偏向しすぎずに、契約・サービスとしてこうした取り組みを見ていく必要もあるでしょう。

法律や社会制度はあなたのペットを当然に守ってくれるわけではありません。①信頼できる引き取り手の確保、②引き取り手への経済的対価の確保を意識した事前準備が必要です。

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